「まあまあ世理くんそんなに怒らずに〜
仲良くしよ?」
いつものチャラチャラスタイルでゆいくんが攻める。
ちょっと、世理なんとか言いなさいよ。
ほんとにいつまでも子どもっぽいんだから。
てか、痛っ。
だんだん私の腕を掴む世理の力が強くなっていってる。
ちょ、どうにかして
「話しかけんな」
きぃぃ、と子犬の後ろに隠れた獣が浮かび上がってくる。
世理の後ろに狼が見えるよ…
購買でなにしてんの、この2人。
「ま、まあまあ…世理もどうしたの?友達行っちゃうよ?」
世理をなだめながら、よいしょ、と腕をほどく。
「あーもう、紗杷行かないでよー!」
「また放課後ね〜」
私を引き止めようとする世理の腕をほいっと振り払って手を振る。
はあ、一件落着。
「なるほど、だいぶ強いね〜、三園くん」
「み、三園くん?」
「うーんなんだか世理って呼ぶには気が引ける」
女の子の名前はすぐ下の名前呼びするのに、
と変な疑問を浮かべながらゆいくんと並んで教室に戻る。

