「はあ。ほんとに紗杷は釣れないねー」
「ゆいくんがばら撒くの美味しい餌じゃないからね」
こんなに釣れない女は初めてだよ、と次の作戦を考えてるゆいくんを横目に見る。
…そんな簡単に釣られてたまるか!!
「チャラチャラしてなければ普通にかっこいいと思うんだけど。良い人だし」
そのまま思ったことを口にする。
「紗杷、ほんとに…罪、それ罪。逮捕」
「え?わけわかんない、ゆいくん壊れた」
なんだか、急に逮捕しようとしてきた。
ひどい、私なにも罪犯してない。
こんなんで捕まってたまるか!
と言わんばかりに教科書を開いた。
……さっき、ゆいくんが真面目に予習をしていた理由がわかった。
今日の数学、1人ずつ答え黒板に書かないといけないなんて、聞いてないよおー!!
最後の最後まで耐えて私まで回ってこないと思ってたんだけど。
授業終了5分前、現在。
見事に私は当てられまして…
今、ゆいくんにどうにかしてノートを見せてもらえないか頼んでるところ。

