「…ない」

「どおしたー?」

「ゆいくん、独り言だからこれ」

3限終わりの休み時間、次の授業の準備をしようと思っていたところ、どうやら教科書を忘れてしまったようです。

新学年がはじまって、2週間がたった。

そして嬉しいことに、だんだん、ゆいくんの扱い方もわかってきました!

男は、だいたい冷たくすればOK

これは誰にでも使えることが私の中で立証されつつある。

…て、そんなことは置いといて。

そうそう、教科書だ教科書っ!!

私いつも忘れないのに…
重い足取りで3組に向かう。

…他クラスの友達なんて、世理しか思いつかない。

自分の友達の少なさに恐怖を感じながら3組の後ろのドアをあけた。

「えーっと…」

教室中を見渡して世理を探す。

「あっれー、雪乃さんじゃん!うちのクラスになんか用…」

「紗杷〜!」

「うあっ」

少しチャラチャラした男の子が私に話しかけてきたと思ったら、世理がその子を押し飛ばして私に飛び込んできた。

それを軽く避ける。

もう、いきなりなんなのよ…