お願いだから、好きって言って。



「やべ! 人違いだった、ごめん」


 佐藤くんはパッと私の腕から手を離し、謝る。


 人違いって……誰と間違えたんだろう。



「佐藤くん……?」



 遠慮がちに問いかけると、佐藤くんは驚いたように目を見開いた。



「――え?! 双葉さん……?」


 小さく頷くと、周りの男子たちがざわめき始める。


「え、双葉さんってあのメガネの……?」
「マジ……? さすがに違うだろ」




「佐藤くんも花火しに来たの……?」
「……さっきまで篠塚といたんだけど、消えた」


 綾瀬さんとどこかへ行ってしまったことを告げると、佐藤くんは「上手くいくといいな」と笑った。


 気が付くと、周りにいた男子はどこかに行ってしまっていて、改めて佐藤くんにお礼を言う。


「ありがとう……あの人たちのこと、しらなくて……」
「ナンパとか、軽くあしらえばいいじゃん」
「ナンパ……されてたの? 私……」


 その問いかけに、佐藤くんは深いため息をついた。