お願いだから、好きって言って。




 ◇ ◆ ◇



 ズキズキと痛む体、ゆっくりと目を開く。
 ザァァと降り注ぐ雨、私はベランダのベンチに横になっていたみたい。


 だけど私……ベランダの床に倒れ込んだような記憶が……



「はぁ……ッ、苦し……」




 寝てたおかげでさっきよりは少し大丈夫になったけど、まだ息が上手くできない。



「まだ起き上がっちゃだめ、寝てて」



 そう言いながらベンチの横にしゃがむのは、佐藤くんだった。


 佐藤くん……? どうしてここに……



 これは、夢……?



 息苦しさのせいで、聞きたいことも言葉にできずに咳き込む。



「双葉さんも風邪……?!」
「ちが……う、喘息……持病で……」
「喘息……」

 ヒュッと喉が息苦しそうに鳴る。
 こんなみっともないとこ、佐藤くんに見られたくなかったのに。



 そうだ……相良さんは……


「さ……相良、さんは……?」
「相良は先生が施設の医務室に連れていった」



 佐藤くんのその言葉に、少しだけホッとした。
 先生がちゃんと連れていってくれたなら安心……


「それより、双葉さんの喘息……。薬とかないの?」
「リュック、の中……置いてき、た……の」
「マジか……取りに行ってくるから待ってて」


 そう行って、雨の中走り出そうとする佐藤くんの右手を必死に掴む。



「行か、ないで……」
「……え?」
「お願い……行かないで……」



 こんな雨の中、佐藤くんを行かせたくないのはもちろんそうなんだけど……



 今だけは、離れないでいてほしかった。


 そんなワガママ、最低だって分かってる。



 相良さんの力になりたかったとはいえ、勝手に行動して、自業自得なのに。




 それでいて、佐藤くんにそばにいて欲しいだなんて……