お願いだから、好きって言って。


「好きな人……いる」



 もう、誤魔化せない。と本能がそう言ってる気がして、勇気をだして絞り出した一言。


 そんな私の言葉を聞くなり、雪崎くんは「やっぱりね」と嬉しそうに笑う。


 分かってて聞くなんて……雪崎くんはいじわる。悪魔だ……


「ちょっと! 2人恋バナしてるの?!」



 私の背中に後ろからギュッと飛びついてきた綾瀬さん。




 もしかして……さっきの、聞こえてた?


 佐藤くんも、篠塚くんも……相良さんもいる。



 どうか、バレてませんように……


「ちが……そういうのじゃない……」
「えぇ? でも好きとか聞こえたような……」



 綾瀬さんが不思議そうに首を傾げる。


 どうにかして誤魔化さなきゃ……



「俺が好きな食べ物聞いたからじゃね?」
「え、そうなの?」
「双葉さん、パクチーめっちゃ好きらしい。そんなの好きな人いないだろって言ったら"好きな人いる"って意地張るの」


 雪崎くんの素晴らしいフォローのおかげで、綾瀬さんは「そういうことか~」と簡単に納得してくれた。


 こうもすぐに誤魔化せるなんて、雪崎くん……すごい、何者なんだろう。

 きっと、頭の回転が早いんだろうな……


 でも、別に私、パクチー好きじゃない……逆に嫌いな方なんだけどな……