お願いだから、好きって言って。


 佐藤くんの好きなタイプ……意外だ……
 可愛い人、とか……オシャレな人、とかそういうのだと思っていた。


 それに、あんなに真っ直ぐ見つめられながら言われたら……


 普通の人なら勘違いしちゃうよ……


 佐藤くんは本当にずるい、こんなこと誰にでも言ってるのかな?


 でも、相良さんが前に言ってたあの言葉が、私の脳内を埋め尽くす。



 違う、勘違いするな……


 そんなわけ、ない……



 私なんかが、佐藤くんの特別になれる訳がない。




「そういえば、あなた部活あるんでしょう? 残りは先生がやっておくから」


 先生はそう言うと、私たちの机にあった書類を持って図書室を出ていった。


「じゃ、俺……部活行くから」
「う、うん。また……明日……ね」

 ぎこちない返事をしてしまって後悔する。


 隣に並んだ佐藤くんは一歩進むと……



「双葉さんは、可愛いんだからもっと自信持ちなよ」



 私の頭を優しく撫でると、微笑んでそのまま部活へ行ってしまった。



「……な、んで……」



 なんで……こんなに、心臓がうるさいのか、嫌でもわかる。



 わたしなんかが、ダメなのに……



 こんなの、絶対実るわけないのに。



 ――私、佐藤くんのこと、好き……かもしれない。