お願いだから、好きって言って。



 佐藤くんは必死で私の質問の答えを考えているみたいで、戸惑うように黙り込んでしまった。


 気になる人がいる佐藤くんに、好きなタイプを聞いても、その気になる人のことになるに決まってるのに……



 しばらく気まずい無言の時間が続いたその時……



「あら。作業、捗ってる?」


 司書の先生は忘れ物をしたそうで、図書室へ入ってきた。

 この会話は聞かれていない。そんなことは分かりきってるけど、心臓の音はさらにうるさくなる。

 顔、あつい……


 こんなの、図星だって……思われちゃう。



 そんな事を考えていると……




「俺は……恥ずかしがり屋で、真っ直ぐに頑張る人……好き」


 佐藤くんは、私にだけ聞こえる小さな声で……そう呟いた。