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カラオケに行くのダルい。だなんて言っていた佐藤くんも、案外ノリノリみたいで、部屋に入るなり曲を入れて歌い始めていた。
「あの、さ……双葉サン、本当はあんまりカラオケ行きたくなかったよね?」
綾瀬さんは私の隣に腰掛けると、こそりと小声で問いかけた。
逆だよ、できることなら参加したいって自分で言えたらよかったけど……佐藤くんにまた助けられてしまった。
「ううん、皆と仲良くなりたいから……」
「よかった……。あたし、ムリヤリ誘っちゃったかなって心配だったんだよ。迷惑そうだったし……」
「そんなわけ、ないよ……っ! 言い出せなかっただけ」
勇気を出してそう言うと、綾瀬さんは嬉しそうに微笑んだ。
「あれ、綾瀬の友達?」
そう言いながら綾瀬さんの隣に座ったのは、佐藤くんの友達の……名前はたしか、篠塚くん。
「し、篠塚?! なんで隣?!」
「え、嫌だった? なんかごめん」
慌てて立ち上がる綾瀬さん。
綾瀬さんは篠塚くんのことが苦手なのかな……?
でも……なんか綾瀬さん……
あ、そういうことか。
真っ赤な顔を隠すように篠塚くんから顔を逸らしてることに気付いて、察してしまう。


