お願いだから、好きって言って。


 断られるのってこんなに辛いことだったんだ……

 いままで、あえて人と関わらないようにしていた私は、こういう感情に疎い。

 だから、綾瀬さんを一度傷付けてしまったのかもしれないって分かって、気が気じゃなかった。


 ただ、これ以上この重い空気の中居れる気がしなくて、私は「ごめんなさい」と呟いて、教室を出た。



 遅かった、困らせた……気まずい顔された……


 最悪だ、もう嫌だ……


 俯いて、早足で廊下を歩いていると、腕に何かがぶつかった。


「いた……っ」
「ごめんっ、大丈夫?!」

 見上げると、心配そうにこちらを見る佐藤くんがいた。


 今は……会いたくなかった。なんて思っても、もう手遅れ。この曇りきった表情に気付かれていたようで……


「……どーしたの?」


 大きくて、宝石みたいな瞳でまっすぐと見つめられ、思わず目を逸らしたくなる。


 ――私には、とても眩しすぎるから。