お願いだから、好きって言って。



「あの、ごめん……なさい」


 私を抱きかかえたまま、海岸の方へと歩いていく佐藤くん。


 勇気をだして謝ってみるも、返事はかえってこない。


「せっかく……佐藤くんはご飯食べようとしてた……のに、私のせいで……」


 俯きながらぽつりと呟くと、相変わらず冷たい表情のまま、佐藤くんは口を開いた。



「そんなの、どうでもいいよ」



「俺、前に"可愛いんだから自信持ちな"って言ったよね?」


 佐藤くんの問いかけに小さく頷く。


 言われたけど……そんなの、お世辞だと思ってた。
 まさか、本当に私のことを可愛いと言ってくれたなんて……思わないようにしてた。



「あんな変な男について行こうとしないで、マジで危なかったからね?」
「ごめんなさい……」



 もう一度小さく謝ると、佐藤くんは深いため息をつく。


 呆れられた? 私、佐藤くんを怒らせた……?
 嫌われたのかな……なんて、たくさんの不安が一瞬で頭の中を埋め尽くす。




「俺のそばから離れないで。約束して」




 不安げな表情でそう言われ、戸惑う。

 私に怒ってたんじゃなくて……心配してくれてたの……?



 そばにいてって……でも、振った相手が近くにいたら迷惑じゃないのかな……