「俺、綾瀬のこと小学生の頃から知ってるけど、そんな邪魔だとか思うやつじゃないから」
佐藤くんがキッパリとそう言い、私もやっと気付く。
……そうだよ。綾瀬さんも遅刻しそうだったのに、見ず知らずの私の手を引いて、全力で一緒に走ってくれて……
そんな優しい人に、私は失礼なことを……
でも、まさか私なんかを誘ってくれるなんて考えもしなかった。
どんどんと表情が曇っていく。
思い返してみたら、私……とっても感じ悪かったかも。
相手を気遣えば気遣うほど、遠ざけてしまって……考えていたこととは真逆の伝わり方をしてしまう。
なんでこんなに私は不器用なんだろう……
「佐藤くん、ありがとう……」
彼の目をしっかりと見て礼を告げると、私は図書室を出た。


