次の日は待ちに待ったモネの誕生日だった。
商店街の雑貨屋では、カナトとシロウが言い争いをしていた。
「絶対僕が買うんだ。僕が先に見つけた。」
「嘘だ。前々から僕が目を付けてたんだ。渡さない。」
「お前はそのバッグ買えよ。そっちで良いだろ。」
「嫌だね。僕はこの靴と、そのバッグも僕が買うんだ。」
カウンターには、リボンの解けた銀の靴。
カナトもシロウも、モネが靴を欲しがっていた事を知って譲らない。
2人が魔法使いなのを知って、店主は騒ぎになるんじゃないかと青い顔をしている。
「前々から言おうと思ってたけど、モネは僕のフィアンセだぞ。図々しいんだよ。昔っから!」
「誰が決めた?。親だったら僕んちは貴族会で申請してお前達の婚約は取り下げてる。モネは僕のものだ!」
「誕生日会だってお前なんか呼んでないのに勝手に企画して、迷惑なんだよ!」
「僕はモネに許可貰ってる!。迷惑はお前の方だろ!」
カナトはシロウの胸ぐらを掴んだ。
「他所へ行けよ!。」
「そっちこそ!。」
ちょうどそこを通りがかった魔法学校のクラスメートが、ショーウィンドウのガラスを叩いた。
「カナト、シロウ。」
「何」
「今僕たち忙しいんだよ。」
「モネが、不死鳥を見に行って、まだ帰ってきてないって言うんだけど……」
「はあ!?」
カナトはシロウから手を離した。