不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「わ、わかりました。こちらはもう何もするつもりはありません」
「そういう問題でもありません。あなたは先程、ビルドリム公爵家を敵にしたのです。今事実としてあるのは、それだけのことです。あなたが牙を向けてくる危険がある以上、こちらも容赦する訳にはいきません」

 一瞬悲しそうな顔をしながらも、マグナード様はそう言い切った。
 それは彼の覚悟の表れであるような気もする。優しい公爵令息は、牙を向けてきたどうしょうもない子爵令息を、とことん追い詰めるつもりなのだ。

「あぅ……」

 静まり返っていた場に、音が響いた。
 その鋭い重低音は、確かな痛みを想起させるものだ。
 聞こえてきた方向に視線を向けると、ロダルト様が見える。どうやら彼が力なく膝をついているようだ。