不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 エムリーの顔は、絶望に歪んでいた。
 これまで抱いてきた望みが打ち砕かれたのだ。それも当然だろう。
 ただ彼女に対して、同情する気持ちは湧いてこない。散々な目に合わされた私からしてみれば、いい気味である。

「これ以上の争いに意味はないわ。あなたも諦めて、大人しくしていることね?」
「こ、こんな結末なんて……」

 悔しそうに拳を握り締めるエムリーから、私はゆっくりと踵を返す。
 これ以上、彼女に付き合う必要はない。エムリーの敗北は決まったのだから、後は放っておくとしよう。