不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 色々と考えて項垂れていた私は、かけられた声に驚いた。
 聞こえてきた方向を向いてみると、そこにはマグナード様がいた。彼はこちらを心配そうな顔をして、見てくれている。

「マグナード様……どうしてこちらに?」
「間抜けながら忘れ物をしてしまいましてね……しかし、それに関してはこちらも同じ疑問を抱いています。イルリア嬢は、どうしてこちらに?」
「それはその……色々とありまして」

 マグナード様からの質問に、私は曖昧な答えしか返すことができなかった。
 彼にルヴィード子爵家の事情を伝えるべきではないと判断したからだ。
 そんな私に対して、彼は目を細めている。何かを思案しているといった感じだ。

「少し失礼します」
「あっ……」

 それから彼は、ゆっくりと私に近づいて来て、隣の席に座った。
 明らかに、話を聞く体勢を作っている。どうやら私の事情に、踏み込んでくるつもりのようだ。