不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「イルリア嬢を、あまり男性と二人きりにさせたくありません」
「……お前は何を言っているんだ。俺が弟の恋人に手を出すとでも?」
「可能性はゼロではないでしょうが」

 どうやらマグナード様の心配は、別の方面のものであったようだ。
 それはそれで、嬉しく思う。それにしても、ベルダー様に対する信頼がないような気もしてしまうのだが。

「……使用人を同席させよう。メイド長なら信頼できるか。彼女には俺も父上も母上も頭が上がらないことは知っているだろう。先代からの重鎮だ」
「……仕方ありませんか。それで手を打ちましょう」
「こんなことで彼女の手を煩わせたくはないのだがな……」

 ベルダー様の提案で、話はまとまった。
 なんというか、不思議な感覚だ。やはりマグナード様も、兄弟の前では別の顔を見せるということなのだろうか。彼のいつもとは違う一面を垣間見て、私は笑顔を浮かべるのだった。