不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 彼女の体は、少し冷たい。人としての温もりが失われかけている。その事実が、私としてはとても恐ろしかった。

「野郎――おい! あいつを拘束しろ! あいつは貴族じゃない! ただの賊だ!」

 そこでブライト殿下の声が響いた。
 それに合わせて、周囲の人々がロダルト様の方に集まっていく。
 しかし、彼は既に動けなくなっていた。私がエムリーのことを受け止めている間に、マグナード様が彼を拘束していたのだ。

「マグナード、お前――」
「……激情に任せてしまいたい気分でしたがね。しかし、同じ間違いを犯しはしません」
「流石だな。今回は流石の俺も、ぶん殴りたい気分だったが……」
「それよりも、早く医者の手配を!」
「ああ、そうだな!」