不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 そうやって考えていくと、ある一人の顔が浮かんできた。多分、エムリーは彼のことを夢で見たのだろう。

「それは恐らく、ロダルト様ね」
「ロダルト様、それはどなたなんですか?」
「私の元婚約者で……あなたにとっても元婚約者ね?」
「……なんだか、複雑な関係性ですね?」
「ええ、そうなのよ」

 エムリーが夢で見たのは、恐らくロダルト様だ。彼ならば、彼女の説明に合致する。
 一応婚約者であった訳だし、印象深いはずだ。記憶の中から急に思い浮かんできても、おかしくはない。

「まあ、彼の話もしておくべきかしらね。ただ今は時間がないから、帰りの馬車で話しましょうか」
「ええ、よろしくお願いします」

 これから私達は、帰り支度をしなければならない。そのため、ロダルト様の話は後にするとしよう。時間は後でたっぷりとあるのだから。