不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 別荘とはいえ、この屋敷にはそれなりの人数の使用人がいる。
 腕っぷしがある人もいるみたいなので、恐らくは安全だろう。
 問題は、相手が大きな集団であるという可能性だが、それもないような気がする。そういった団体は、得てして補足されるものだ。影も形もないなんてことが、あるのだろうか。

「……考えるべきは、ムドラス伯爵令息とヴォルダン伯爵令息に関わることです」
「……まあ、不本意ではあるが、その可能性も考えざるを得ないか。こんなことになった以上、俺も反論なんてしないさ」
「何が起こっているのかはわかりませんが、とくにかく警戒する必要がありますね」

 マグナード様の意見に、ブライト殿下も同意した。
 不可解なことがなんども起こっているのだから、流石に例の件には何かしらの関係があると考えるべきだろう。
 だが、犯人が誰かは最早どうでもいいことだ。とにかく安全にこの夜を切り抜ける。それが最も重要なことだ。