不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「……きゃああああああああああ!」
「え?」
「エムリー、こっちへ!」
「お、お姉様?」

 私は、大きな声を上げた後にエムリーの体を引っ張った。
 これで外にいる何者かに私のことは悟られたが、マグナード様やブライト殿下、その他使用人にも危機が伝わったはずだ。
 当然この方法には危険もあるが、今はこの方がいいだろう。私は、エムリーのことを庇いながら、部屋の外へと向かって行く。

「あれは、人影?」
「逃げているわね……」

 その瞬間、私は部屋の外にいる人影が走っていくのが見えた。
 どうやら相手は、逃げることを選択したようである。
 それは私達にとっても安心できることだ。逃げてくれるなら、それにこしたことはない。

「イルリア嬢! 何かあったのですか?」
「あ、マグナード様」

 そんなことを思っていると、マグナード様が焦ったような顔をしてやって来た。
 私の目論見通り、人々がここに集まっている。とりあえずこれで、安全は確保することができそうだ。