不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「泡沫の夢……とでも思っておくべきね、この期間、は?」

 眠れないため、私はゆっくりと体を起こそうとした。
 すると、月の光がカーテンを突き抜けて部屋を照らしていた。

 それは別に、おかしいことではない。雲がないならそうなるのが当然のことであるだろう。
 ただ、そのカーテンに黒い人影らしきものがあることは、明らかにおかしいことだった。それを見て私は、固まってしまう。

「そ、外に、誰かが、いる……?」

 驚いたら声が出るタイプではなくて、良かったと心から思った。
 私は起こそうとしていた体をゆっくりと下げる。とにかく外にある人影に、悟られてはいけないと思ったからだ。

 しかし、そこで問題に気付いた。
 私のベッドは、廊下側にある。つまり窓際にはエムリーのベッドがあるということだ。
 仮に窓の外にいる何者かが、中に入ってきた場合、一番危険なのは妹である。それに気付いた私は、ばれないようにすることを諦めることにした。