不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「そんなに違うものなのか?」
「ええ、以前の彼女はなんというか、野心に溢れる鋭い女性でしたから」
「それは信じられないな。今の彼女は、天真爛漫な少女でしかない」
「だから僕も驚いているんです」

 ブライト殿下やミレリア嬢は、以前のエムリーをそれ程よく知らない。
 故にマグナード様の驚きは、あまり伝わっていないのだろう。

 ちなみに、今のエムリーはミレリア嬢と一緒に花冠を作っている。
 かつての妹から考えると、まったく似合い遊びだ。以前なら花を踏み潰すような性格だったはずなのだが。

「まあ、善良になったならそれでいいんじゃないか。このまま記憶を取り戻さない方が、イルリア嬢としてはいいんじゃないか」
「そういうものではないでしょう」