不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

「屑共が……」

 ブライト殿下は、その表情を歪めて二人のことを見ていた。
 彼は、怒りが表に出やすいタイプであるらしい。拳を握り締めて、今にも二人の悪漢に食ってかかりそうな雰囲気だ。

「……」

 一方で、マグナード様は冷ややかな表情をしていた。
 ブライト殿下のように激昂してはいないが、それでも彼が怒っていることは伝わってくる。
 そんな風に思っていると、私の目の前に風が吹いた。それを感じた瞬間、私はマグナード様の姿が消えていることに気付いた。

「あいつ……おい、待て! マグナード!」

 私とほぼ同時に気付いたブライト殿下も、駆け出す。二人の行き先は、当然ヴォルダン伯爵令息とムドラス伯爵令息だ。

「はっ! ひょろい公爵令息に何ができると――」
「黙れ」
「え? あぐっ……!」