不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 彼女は私のことも、精神的に追い詰めることしかしてこなかった。だからこそ、二人の令息は手を出したりはしてこなかったということだろう。

「ナルネア嬢の影響で、丸くなったとか?」
「その可能性もあるのかもしれませんね。それでもあくどいことには変わりありませんが」
「まあ、暴力に頼らないだけましとしておきましょう」
「うん?」

 そこでマグナード様は、教室の入り口の方を見ていた。
 そこには、見たことがない男性がいる。もしかして、あれが件の二人のどちらかだろうか。よく考えてみれば、私はまだ二人の顔を知らない。

「マグナード様、申し訳ありません」
「……どうかしましたか?」

 しかし私は、すぐにその人物が誰であるかを理解した。
 彼は恐らく、マグナード様の知人だ。その知人は、明らかに何かあったという顔をしている。
 私とマグナード様は、顔を見合わせた。なんだか、嫌な予感がする。一体どのような問題が、起こったというのだろうか。