不憫な妹が可哀想だからと婚約破棄されましたが、私のことは可哀想だと思われなかったのですか?

 マグナード様は、冷徹にその目を細めてナルネア嬢のことを見ている。今の彼には、容赦も情けもないだろう。いつもとはまったく違うその目が、それを表している。

「マ、マグナード様……」
「こんにちは、ナルネア嬢」

 マグナード様がやって来たことに対して、ナルネア嬢は目を丸めていた。
 本当にまったく予想していなかったのだろう。彼女は固まっていた。何も言わず、マグナード様のことを見ているだけである。

「あなた方が何をしているのかは、聞くまでもありませんね?」
「そ、それは……」

 マグナード様は、ゆっくりとナルネア嬢との距離を詰めていた。
 ナルネア嬢は後退しようとしているが、彼女の後ろにあるのは壁だ。これ以上後退することはできない。
 ちなみに取り巻き達は、マグナード様を止めようとしていなかった。彼の迫力に気圧されて、動けなくなっているのだろう。