さっきまで探していた彼が今は目の前にいるというのに、桜庭はなぜかスマホをまだ触っていて
「あー、雄太でねえなー」
なんて呑気な声が頭上から聞こえてくる
ちょっと、桜庭!どうにかしなさいよこの状況!
そう思って今度は桜庭を振り返ろうとしたけれど
「想、」
神崎くんの抑揚のない声が、桜庭を振り返らせる
「なんだよ、いるじゃねえか」
よっ、と片手をあげた桜庭に、うん、と頷く神崎くん……
と、間に挟まれるあたし……。
「電話もでねえから、今日はいないのかと思ったよ」
「トイレ行ってた、携帯は椅子に置きっぱだったよ」

