「約束だろーが、ほらいくぞ」


「全然約束じゃない!てか絶対迷惑だよ、やめようよ」


「あいつがいいなって言ったんだ、お前と俺は仲良しだって見せつけてやろうぜ」


いたずらっ子みたいに笑う桜庭だけど、あたしは全然見せつけたくない!


「仲良しじゃないし!見せつけないし!」


「めんどくせえな、いくぞ」


本日何度目かの桜庭のゴツゴツ骨ばった手のひらに包み込まれて、あたしの左手は自由を失う


「待って、心の準備が…。てか色々ほかにも準備が!」


そんなあたしの声は届いていないようで長い足をスタスタ進める



こんな服装だし、メイクもしてないし、休みの日にたまたま会いたい、なんて願ってはいたけれど!


恋する乙女だもの、好きな人には少しでも可愛く見られたいってもんでしょうよ