「お前、雄太のことがす…」
好きなんだ、そう言われる前にもう一度桜庭の口を抑える
「…想?」
目の前でバタバタしているあたしたちに気付いた神崎くんは、不思議そうに桜庭を見上げる
「な、なんでもない!ね?桜庭?」
咄嗟に桜庭の肩を叩いて、合わせなさいよ、と笑顔のまま睨みつける
「…お、おう」
憎まれ口のコイツがなぜ黙って頷いたかというと
「雄太には言わねえからはやくどけろ」
「絶対だからね」
ジリジリと、桜庭の左足をあたしの右足が踏んづけていたからで
「女のくせに、なんてチカラだ……」
悔しそうに呟く桜庭の声なんて、あたしの耳には届いていなかった。

