まだ騒がしい教室が、突然いちだんと騒がしくなる 「想くんだ、今日もカッコいい」 「ねぇどっち派?あたしはやっぱ想くんかも〜」 さっきまで神崎くんの隣に座りたがってジャンケンをしてた子たちが、頬をあからめる ふわっと柑橘系の匂いが鼻をさす 「雄太、サンキュー」 少し低い耳心地のいい声が聞こえたと思ったら、あたしの隣にドカッと誰かが座った その誰かは見なくてもわかるんだけど… 「……ん、遅かったね」 寝てると思ってた神崎くんは顔をあげたみたいで、気だるく返事をした