「瀬戸さんはいつもあの時間に教室にいるの?」

緊張したような舞の問いに明里は首を縦に振る。声が驚きで出て来なかった。胸の鼓動がうるさい。そんな彼女を舞は上目遣いで見つめる。

「私も早く教室に行こうかしら。そうしたら瀬戸さんとお話できるでしょ?瀬戸さんのことをもっと知りたい」

明里は想像する。朝の教室で二人きりで話す。誰も知らない秘密の時間だ。想像するだけで体が熱くなっていく。

「いいと思う……」

一人の時間がほしいため、早く教室に行くようになった。しかし舞と一緒ならいいと思えたのだ。

甘酸っぱい二人きりの時間が始まろうとしている。