ガラス張りのサンルームから見える庭には、色とりどりのアネモネや、見ているだけで元気になれそうなビタミンカラーのガーベラ、かわいらしくも気品のあるスズランなど、様々な春の花が咲き誇っている。
「気軽につまめるものを用意してもらうから」
というお言葉に甘えて、星山さんの自宅で昼食をごちそうになることになったのだけれど……。
「お口に合いそうなものはあるかしら?」
わたしの正面に座った星山さんが、優雅にティーカップを口元に運ぶ。
これって、ほら、あれですよね?
ホテルなんかで食べられるっていうウワサの、アフタヌーンティーってやつ(いや今は昼だけど)。
純白のテーブルクロスのかけられた丸テーブルの上に置かれた、三段のケーキスタンド。
一段目には数種類のサンドイッチ、二段目にはスコーン、そして一番上の段には様々なフルーツで飾りつけられた一口サイズのタルトが置かれている。
『気軽につまめるもの』っていうから、てっきりおにぎりとか、あんパンとか、そういうものを想像してたんだけど、全然違った!
「ごめんなさい。急だったから、こんなものしか用意できなくて」
「い、いえ。こんなのが食べられるなんて、夢みたいです」
ぽーっとケーキスタンドを見つめながら素の言葉が出てしまい、ハッと我に返る。
大御門学園の生徒なら、きっとこのくらいオシャレなものだって、食べ慣れているはずだよ。
「じ、じゃなくて! どれもとってもおいしそう」
「よかったあ。じゃあ、食べる前に教えてくれる?」
ティーカップを置くと、星山さんがわたしを見つめ、ニコッとほほえむ。