一匹オオカミくんと、今日も、屋上で



『皆には聞こえていない』このことを言いことに、宝生くんは私に、

「好き、好き、好き、好き、好き、好き、好き、大好き」

と、ひたすら「好き」という言葉を囁いてくるため、私の耳はもう限界だった。


教室を出ていた蘭。タイミングを見計らっていたように、「みんなー、もう帰れって先生がー」という声を教室中に響かせた。


クラス公認のカップルとなった私と宝生くんは、祝福されながらも二人で校舎を出る。

私の手に宝生くんの手が触れる。そして、小指と小指をさりげなく絡めた。


「あっこのバカ、あんな大声で俺に話しかけて……我慢できなかっただろ」

「宝生くんのバカ、あんな耳元で囁かないでよ……」

「ごめん、暴走しすぎた。青羽くんがいいとか言わないよな?」

「言うわけない。宝生くんも、他の子がいいって言わない?」

「誰に好かれたくて高校デビューとやらをしたと思ってんだよ、なめんな」


一見小言を言い合っているように見えて、愛を確かめ合う私達。



ーーこれが私たちのペースで、私と宝生くん、二人だけの『初恋のはじめかた』。


【END】