挙げ句、『あっこを好きな人はこのクラスならー』と、私のことを好きらしい男子の名前を言い始める蘭にストップをかける。
「蘭、私は好きな人がほしいの。好きでいてくれている人を知りたいわけじゃないの」
「でも好きになったら付き合いたいって思うでしょ? 大丈夫だって、隣のクラスの青羽くんもあっこのこと――」
「知りたくない、大丈夫、ありがとう」
聞きたくないと、耳を抑える素振りをする私に、蘭は突っかかる。
「青羽くん、かっこいいし、優しいじゃん! 学年で一番っていいほどモテてるんだよ! これ以上理想的な男子なんていないし、青羽くんがあっこを好きなことは女子の間では知れ渡ってるから、あっこ相当女子から反感持たれてるんだからね!」
「反感、持たれてるの?」
「今まではあっこが恋愛興味無しで有名だったから皆も多めに見てたけど、恋愛に目覚めたんなら話は別。女子が黙ってないよ」
まるで私が青羽くんと恋愛をする、とでも言いたげな蘭。
可哀想と言われたり、反感持たれたり、私はどうしたらいいの、と、煮えきらない感情でいっぱいだった。
結局、蘭も蘭を含めた友人も、他の女子も、私に求めていたものは『男子にモテるけど恋愛できない可哀想な子』でいてほしかっただけだ。



