一匹オオカミくんと、今日も、屋上で






宝生くんと一緒に旧校舎から、新校舎へと戻る。すると、私のロッカーにメモ紙が入っていた。


手紙の内容は、今日校舎裏で待っているという内容で名前は書かれていなかった。


「それ、なに」

「待ってるって内容だった……」

「名前は?」


宝生くんは不満そうにメモ紙を手に取り、内容に目を通した。そして、「告られるんじゃん」と、一層眉間に皺を寄せた。


「で、でも告白じゃないかもしれないし……」

「絶対告白。俺もついて行く」

「えっ!?」

「あっこが変なことされないように念の為」

「うん、ありがとう」


本当は行かない選択肢もある。


けれど、もし告白だったら、私に手紙を出してくれた人ももどかしい気持ちを抱いているなら、しっかり話を聞きたいと思った。


聞いて、お礼とお断りの言葉をしっかり言いたい。


前までは「ごめんなさい」の言葉をなんの感情もなく、ただ述べるだけだった。


今はきっと、今までとは違う断り方ができるはすだ。