一匹オオカミくんと、今日も、屋上で



そう告げると宝生くんはニッと嬉しそうに口角を上げた。


「俺はあっこが逃げても隣にいてもらう気でいたけどな。両思いなんて、奇跡みたいなことおきてんのに、それを全部無しにしたくないし」


食べかけていたお弁当の蓋を閉じ、私の頬に掌を当て、猫を撫でるように優しく触れられた。


「――う、うん……」

「俺の恋人になってくれる?」

「うん……っ、宝生くん、ふふっ、くすぐったいよ……」


逃げるように宝生くんの手をゆっくり祓う。宝生くんは顔を赤くしながら「ハアー」と大きな息を吐いた。


「絶対俺の好きの方がデカいし、我慢との勝負になるけど、大事にする。あっこが俺の気持ちに追いつくまで、俺、待つから」

「…………え?」

「もっかい口に触れたい。そしたらきっと唇が触れるだけじゃ我慢できなくなるし、絶対押し倒して額や耳や頬や首にキスする」

「え、あっ……ありがとう?」

「それで、あっこの制服の中に手入れて散々身体触りまくって、あっこの顔を見ながらたくさん深いキスするって、ずっと考えてた」


宝生くんの瞳が熱くて、『今、そうしたい』と言っているように見える。


その熱い眼差しはまだ、私には刺激が強い。