「わ、私……宝生くんからキスされたとき、びっくりしてドキドキした。嬉しかったの」
「俺も。でも、やっとあっこを手に入れられたような気がして、キスしたとき凄くホッとした……ごめんな」
愛おしそうな顔で私を見つめる宝生くんにまた、胸が締め付けられる。
これが恋なんだ。
……この気持ちが好きってことなんだ。
ずっとモヤモヤと渦巻いていた心にスッと日差しが入り、晴れていく。
――この、ドキドキや苦しさや嬉しさを自分一人じゃ抱えきれないから、女子の皆は恋愛話で一緒に悩んで盛り上がるんだ。
本気で誰かを好きだから、嫉妬や妬みの矛先が誰かに向いちゃうんだ。
私も、宝生くんのことを好きな女の子に、そんな感情を向けてしまうかもしれないと思うと、また苦しくなった。
「宝生くん、私、恋愛で蘭や他の子の本性を見たと思ったの。それで気まずくなって蘭を避けてたんだけど……誰かを傷つけるリスクがある恋愛って、そもそもしていいのかな……」



