「つーか、今貴重な休み時間なんだわ、あっことの時間無くなるだろうが」
「はあ!? もー! あっこ、昼休み終わったら、もう一人行動禁止だからね! 部活も一緒行こ!」
宝生くんの『あっち行け』仕草に、蘭は舌を出して階段を降りて行った。
蘭がいなくなったことで、急に静けさが増す。
顔が赤い、心臓がうるさい。
胸が苦しい。
なんとか気を紛らわせたくて、
「……あっ、弁当……食べる? 今日、宝生くんの箸忘れちゃって……でも、私胸いっぱいだからお昼はいいや……」
お弁当を手渡すと、宝生くんは「先に食っていいよ」と、私にお弁当を戻した。
お言葉に甘えて、お弁当を広げ少しずつ口をつける。
色々聞きたいことはあるのに、何を話せばいいのか分からない。
「……誰が誰を好きになるって自然なことだから、あっこの気持ちが徐々に俺に向いてくれればいいなって思ってた」
そんな私の気持ちを見透かすように、宝生くんは静かに口を開いた。



