私が納得しているなか、蘭はニヤリと笑いながら、
「って、宝生くん、そんな最初っからあっこに迷惑かけてたの!? 私、見たのよ宝生くんの卒アル。前髪長くてメガネでオタクっぽくて別人かと思ったわ」
宝生くんの弱みになりそうなことを探っていた。そんな、蘭に
「入試んときにあっこに惚れたから、少しでも近づくためにイメチェン頑張ったに決まってんだろ」
恥じらいもなく、さらりと言い返す。
宝生くん、今『惚れたから』って……え、聞き間違い?
嬉しいはずなのに、二人が言い争っているため話に入れない。
「あんた、顔良いのに女子をガン付けてるから皆も怯えてんのよ! 頑張り無駄になってるんじゃない?」
「あっこ以外どうでもいいし」
「あっこ、あっこって。それ私が付けたあだ名なんだけど!」
「ああ、そりゃどーも、えーと、悪い、おまえの名前知らねぇわ」
「あんた燃やされたいの!?」
二人の会話が面白くて、つい、「フッ」と笑ってしまった。
私、知らなかった。
こんなに友達にも宝生くんにも大切に想われていただなんて、全然知らなかった。



