「ここで私の大事なあっこといつも何をしてたのかしら!? 宝生くん!」
「ああ? 何もしてねぇ。ただ、あっこの弁当一緒に食ってるだけだし」
「一緒の弁当!? 随分仲がよろしいことで! 私はぜんっぜん知らなかったけどね!」
「てめぇ、あっこのこと、好きな人ができない可哀想な子って思ってたんだろ。おまけに、あっこが恋愛に目覚めたら隣のクラスの青羽くんと付き合いそうって思ってたクセに。誰と恋愛すんのかはあっこの自由だろうが」
「違うし! あっこ、モテるし顔がいいのに勿体ないって意味よ! 好きな人ができない可哀想な子なんて思うわけないでしょうが! ただ、あっこが青羽くんと付き合えばいいなって純粋に思ってただけ!」
「いいわけあるか! どうせその青羽くんもあっこの顔だけが好きなんだろ! 俺は違う。入試の時、道に迷う俺にあっこが助けてくれたんだよ。試験のときも消しゴム忘れて探してたら、あっこが半分くれたし。その時から目で追ってんだよ、俺は!」
激しく言い争う蘭と宝生くん。
確かに、入試のときに道に迷ってた男子と一緒に、高校まで来たことも覚えているし、入試の直前、消しゴムを探していたことから、定規で半分に切って渡したことも覚えている。
今とは見た目も異なる為に気づかなかったけど、あの男子は宝生くんだったんだ……



