「なんで友達でもない俺に気遣ってんだよ。思ったこと吐けば?」
「……うん。隣のクラスの青羽くんが私のこと好きらしくて。青羽くん、学年で一番モテるから、私が好きな人ほしいって言ったら、青羽くんと付き合うみたいに思われちゃって……」
「青羽くんとやらと付き合うのかよ」
「私は彼氏が欲しいわけじゃなくて、好きな人が欲しいの。恋をしてみたいの……」
「どうせ、今みたいにやらかして、青羽を勘違いさせたんだろ」
「今みたいにやらかしてって……?」
「箸。俺が口つけた箸で普通に飯食ってんじゃん」
「宝生くん以外にしたことないし、宝生くんが気にしてない素振り見せたから悪いと思って箸使ったのに……」
箸のことを指摘されるとは思わず、恥ずかしくてつい、ムキになって言い返すと、宝生くんは私の手からお弁当と箸を取り上げた。



