だからといってお弁当のおかずの味が変わるというわけでもなく、いつも通りの味だった。
「……で、友達にどう思われてたんだよ」
宝生くんは先ほどの話の続きをし出した。私の話を聞いてくれるらしい。なので、私も終わった話の続きを喋ることにする。
「初恋がまだだから、未だに好きな人ができない可哀想な子って思われてて……」
「んなもん、今更だろ」
「そうだけど、それだけじゃなくて……」
隣のクラスの学年で一番モテていると言われている青羽くんが私のことが好きらしいということは言いたくなかったのに、言わなければいけない空気になってしまった。
自意識過剰な女だと思われたくない。けれど、上手い言い訳が思いつかず沈黙が続く。
せっかく話を聞いてくれている宝生くんに申し訳なくなり、「やっぱりいいや」と会話を遮った。



