その日も黒瀬さんに迎えに来てもらって部活に勤しむ。
特にいつもと変わらない部活風景だったはずだった。
灰田くんと黒瀬さん以外は。
「伊吹さん、ドリンクください」
「伊吹ちゃーん、俺にもくださーい」
ドリンクはいつもの場所に置いてあるにも関わらず、わざわざ私の手から受け取ろうとする2人。
しかも、どこかギクシャクしてそうな2人のやり取りに疑問を抱きながらボトルを手渡した。
何かあったのかな、あの2人。
そんなことを考えているうちに、部活終了の時間がやってきた。
片付けを率先してやっている時、重い荷物を持ち上げようとする。
「伊吹さん、俺やりますよ」
持ち上げようとした時、私に近寄ってきた灰田くんに声をかけられる。
そして、私が持ち上げようとしていた荷物を横から奪われた。
「え、大丈夫だよ。このくらいなら私が・・・」
「女の子なんだから、無理しちゃダメですよ」
そう言って私に向けて微笑みながら重い荷物を片付け始めた。
意外と力強いんだ・・・なんて思いながら灰田くんを見ていると、後ろから誰かの腕が回される。
「伊吹ちゃん、なにしてんの?」
「!?」
後ろから抱きついてきたのは黒瀬さんだった。
そのことに気付いた私の心臓はバクバクと高鳴り始める。
「・・・陸に荷物取られた?」
荷物を持っていく灰田くんのことを眺めたあと、私の方に視線を向ける黒瀬さん。
「・・・はい。持とうとしてるのを取られました」
「・・・ふぅん」
私を抱きしめる腕に力を込めながら、興味無さそうに返事をする。
やっぱり、灰田くんと黒瀬さん何かあったのかな?
部活中も様子おかしかったし・・・。
「まぁいいけど・・・それよりさ、今日一緒に帰ろ?」
甘えるように伝えてくる黒瀬さんにハテナを浮かべる。
いつも一緒に帰ってるのに、急にどうしたんだろ?
「はい・・・いいですけど・・・急にどうしたんですか?いつもそんなこと聞かないじゃないですか」
「んー・・・何となく。片付けもだいたい終わったし、着替えておいで。待ってるから」
「あ・・・はい、わかりました」
そう言って抱き締めていた腕を離す黒瀬さん。
不思議に思いながら彼から離れ、更衣室に行って着替え始めた。



