略奪☆エルダーボーイ


それから、私達とナンパしてきた男子達がいるチームが試合をすることになった。



試合が始まる少し前に言い合いをしていたみたいだったけど・・・大丈夫かな・・・・。



そんなことを考えている中、試合が進んでいく。



点の取り合いが続く中、スコアをつけていく。



その時──



バチンッ・・・!!



「くっ・・・!!」



文字を書いていると、なにかかぶつかるような音と共にうめき声が聞こえてきた。



顔を上げると、黒瀬さんが顔を押さえて倒れ込んでいた。



「黒瀬さん!?」



ベンチに腰かけていたけど、スコア表を投げ出し、試合が中断していることをいいことに、黒瀬さんに駆け寄る。



「いっ・・・てぇ・・・」



「見せてください」



顔を押さえながらゆっくりと体を起こす黒瀬さん。



そんな彼の近くにしゃがみこみ、手をどかしながらボールがぶつかったのであろう顔を見る。



「っ・・・」



私の行動に驚いたのか、それとも傷が痛いのか・・・少し目を見開いて私のことを見る黒瀬さん。



口の中を切ったのか、口の端から血が出てる。



それを見てポケットの中からティッシュを取りだし、数枚取って口元を押さえた。



「黒瀬、口ん中切ったのか」



「そうみたいっすね」



監督が遅れて駆け寄り、黒瀬さんに声をかける。



それに答えながら、わたしが押さえていたティッシュを自分で押さえる。



確か、出血が止まるまで試合続行できないんだっけ・・・。



「齋藤!行けるか!?」



「はい!」



「黒瀬、お前は加藤と一緒に保健室行ってこい。顔面に当たってんだ、一応見てもらえ」



「・・・分かりました」



監督の言葉で、選手交代が告げられる。



まぁ、そうだよね。



「・・・黒瀬さん、立てますか?」



「うん・・・大丈夫」



黒瀬さんを支えながら立ち上がる。



押さえているティッシュは少しずつ白い部分が赤く染まっていた。



結構血が出てるのかな・・・痛そう・・・。



「あらら〜、すみませんねぇ。ボール、ぶつけちゃって」



ボールをぶつけたであろう人が、退場する黒瀬さんに声をかける。



だけど、それは謝ってる訳じゃない。



これは、煽りだ。



「あんなわざとらしく顔面狙っておいて何を言うんだか・・・」



「え、狙って?」



「あぁ・・・わざとやりやがった」



そう言って歩き出していく黒瀬さん。



その隣で体を支えながら救護所へと向かった。