桜記念日

何とか事前に言われていた集合時間の10分前に式場に到着した。

あれよあれよという間に、数人がかりでドレスを着せられた。

「とっても綺麗よ、理名ちゃん。

貴女の母、鞠子さんにも見てほしかったわ」

控室のテーブルに置かれた、両親の写真。

「見てるわよ、きっと。
空の上で今頃号泣してると思うわ」

拓実にも秘密にしていることがあるのだけれど、それは後で伝えることにしよう。

といっても、拓実を始め、勘の鋭い親友たちばかりだ。

どこかで気付かれるかもしれないが。

そんな私の親友たちは、ここに向かっている頃だろうか。

久しぶりに顔を見る。

親友たちの数組が子持ちともなると、会う頻度は減ってくる。

少し寂しい気持ちはあるが、今日も会える。

桜の季節は忙しいはずの、琥珀(こはく)(たつみ)くんも来てくれるのだ。

束の間の再会を喜び合い、昔に戻ったみたいにいろいろな話に花が咲くだろう。

今から楽しみに待ちたい。

凛さんには、一緒にヴァージンロードを歩いてもらうことになっている。