哲朗に『かきうち』まで送ってもらい、私は礼を言ってタクシーを降りた。店に入ると美里が笑顔で迎えてくれる。
「どうでした?」
「全然着崩れせず、身体も楽でした」
「そうじゃなくて、デートのほうですよ」
私は返事に躊躇い、美里の視線を避けるようにうつむいた。
「実は山崎さんとお付き合いすることになって」
「えぇ、良かったじゃないですか! おめでとうございます」
美里の明るい声が、かえって私を苦しめる。泣き出しそうな様子を見て、彼女は困った顔で私の手を取った。
「どうしたんです? あんまり嬉しそうじゃないですけど」
「それが……山崎さん、『ファシール』の御曹司だったんです」
美里は首をかしげ、ちょっと笑いながら言った。
「まさか、カタログ通販の? 私買ったことありますけど」
「私だってありますよ。だってめちゃくちゃ有名じゃないですか」
「どうでした?」
「全然着崩れせず、身体も楽でした」
「そうじゃなくて、デートのほうですよ」
私は返事に躊躇い、美里の視線を避けるようにうつむいた。
「実は山崎さんとお付き合いすることになって」
「えぇ、良かったじゃないですか! おめでとうございます」
美里の明るい声が、かえって私を苦しめる。泣き出しそうな様子を見て、彼女は困った顔で私の手を取った。
「どうしたんです? あんまり嬉しそうじゃないですけど」
「それが……山崎さん、『ファシール』の御曹司だったんです」
美里は首をかしげ、ちょっと笑いながら言った。
「まさか、カタログ通販の? 私買ったことありますけど」
「私だってありますよ。だってめちゃくちゃ有名じゃないですか」
