「ってことがあってさ?」

私は今朝起きた壮大なストーリーを、親友の琴葉に語って聞かせた。

「えー!!!かっこいい!王子様じゃん!
で!肝心の連絡先は!?」

「きけてないよ。お礼したいって言おうとしたらお礼はいい、当たり前のことだから、的なこと言ってたし…
聞けたのは名前だけ!」

私は思いっきり窓に向かって叫ぶ。

「瀬賀那津ー!!!どこにいるんだよー!!」

「え、待って、瀬賀那津って言った?
私インスタ繋がってるかも」

「えっ??」

琴葉が見せてきた画面には
「@Sega Summer」というアカウント。

こんなすぐ見つかるわけ…って!

「こここれ!この人!!!!」

6人ほどがディズニーランドで笑顔でピースする写真の中にただひとり、見たことある顔があった。

「え~!めっちゃイケメンじゃん!!!
しかも!同い年!これは運命でしょ~!
ほら、アカウント教えてあげるから、DMしなよ~」

乙女脳の琴葉はすっかり盛り上がってしまっている。

「い、いきなりDMはちょっと!
名前しか知らないのにインスタで見つけるとか、ストーカーみたいじゃん!
それに!本当に運命ならもう一度くらい会えるはずだしさ!
とにかく!フォローはしない!!」

駄々をこねる琴葉をなだめ、私はもう一度まじまじとその写真を見つめた。

綺麗に通った鼻筋に、笑うとくしゃっとなる目じり、唇から覗く白い歯は綺麗に整列している。

(やっぱりイケメン…)