「芹那、自分の席わかんないの?もしかしてそれも……」
「そうよ、覚えてなかった、なんで?なんでわかんないの。なんで忘れたの、全部覚えてない、学校までの道のりまでは覚えてた。なのになんで?」
「ちょっと担任にいってくる、席変えて貰えるように。隣の席の方が何かと便利だろ、困った時助けられる」
「そこまでしなくても」
「芹那が心配だから」
そう言って教室を出ていった。
ていうか、同じクラスなんだ。
今まで、どうやって生活してたのよ。
ほんと、私……信じらんない。
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秀一は、先生を説得して連れて帰ってきた。
「えー、今日からしばらくの間、記憶をなくしてる永田芹那さんの手助けをするため、古賀秀一くんと永田芹那さんの席を隣同士にします」
C「えー、ずるい、私がなりたいくらいなのに」
クラスの誰かが嘆いていた。
人気者なんだね。
「永田さんのことで何かあったら直ぐに先生に知らせてください。みなさんも手助け出来ることがあればするように、以上」
私たちは隣同士になった。
家だけじゃなく、席まで。
幼なじみって、そんな権限あるの?
それとも、古賀秀一が凄いから?
そんなすごい人なの?
私の知らないあなたは、何者?