「ウィリアム様も、何かお召し上がりになりますか?」
「そうだな──私も、いつものを頼む」
そう言って頷いたウィリアムも、ズボンのポケットから取り出した銀貨を料金箱に落とした。
こちらは、マンチカン伯爵以上の常連だ。何しろ、多い日だと二度三度と、イヴが淹れたコーヒーを飲みにくるのだから。
そもそも、店の場所が場所である。
イヴが切り盛りするコーヒー専門店『カフェ・フォルコ』は、大陸の西に位置するアンドルフ王国──その王都に聳える王宮の、一階大階段脇に店を構えている。
そして、ウィリアムはというと、王宮の主の長男──つまり、アンドルフ王国第一王子という地位にあった。
ただし、『カフェ・フォルコ』には、ある特殊な事情により王家の権力が及ばない。
商品を提供するのは、相手の地位にかかわらず注文順で、王子ウィリアムもそれに異を唱えることはなかった。
先に注文を受けたジュニアの飲み物に取り掛かるイヴを、マンチカン伯爵家の二人が猫耳をピクピクさせながら眺める。
「そうだな──私も、いつものを頼む」
そう言って頷いたウィリアムも、ズボンのポケットから取り出した銀貨を料金箱に落とした。
こちらは、マンチカン伯爵以上の常連だ。何しろ、多い日だと二度三度と、イヴが淹れたコーヒーを飲みにくるのだから。
そもそも、店の場所が場所である。
イヴが切り盛りするコーヒー専門店『カフェ・フォルコ』は、大陸の西に位置するアンドルフ王国──その王都に聳える王宮の、一階大階段脇に店を構えている。
そして、ウィリアムはというと、王宮の主の長男──つまり、アンドルフ王国第一王子という地位にあった。
ただし、『カフェ・フォルコ』には、ある特殊な事情により王家の権力が及ばない。
商品を提供するのは、相手の地位にかかわらず注文順で、王子ウィリアムもそれに異を唱えることはなかった。
先に注文を受けたジュニアの飲み物に取り掛かるイヴを、マンチカン伯爵家の二人が猫耳をピクピクさせながら眺める。



