「ウィリアム様……」
「イヴ、びっくりしたな。もう大丈……」
「──かわいい!」
「──んっ!?」

 カップを離して自由になった両手でもって、目の前の銀色の頭をぎゅっと抱きしめる。
 何しろそこには、銀色のフサフサの毛に覆われたオオカミの耳が、ピンと立っていたのだ。
 もちろん、尻尾だって飛び出している。

「かわいい! ウィリアム様、かわいい!」
「うぬぅ……」

 イヴはオオカミの耳を全力でモフモフしつつ、立ち上がった自分達に代わって切り株に座ったマンチカン伯爵とラテを見下ろす。
 並んで上目遣いで見上げてくるネコとネズミは、文句なしに愛らしいが……


「やっぱり──ウィリアム様が世界一かわいいです」


 とたん、ブンブンする銀色の尻尾が視界に入って、マンチカン伯爵とラテがニヤニヤし始める。
 ちょうどそこに、仕事が煮詰まったためコーヒーの相伴に与ろうとやってきたクローディアが、満面の笑みを浮かべて言った。


「──爆発しろ」